朝8時半過ぎ。太い幹に鈴なりに蝉が止まっている。ジーワジーワ、鳴き声がほうぼうから聞こえてくる。
土地勘のない都内の住宅街。古いアパートの敷地内に、通りに面して壁を作るようにごつい木が何本か植わっている。木の周りには雑草が好きに勝手に生えて、遠くから眺めると小さなジャングルができている。
この時間でももう十分に日差しは強く、日傘をさしても迫り来る熱気から逃げようと、ジャングルが作る日陰に寄って立った。
見上げて蝉の姿を数える。視力は両目とも0.7ないけれど、何匹もすぐに見つけることができた。
私の顔の高さまである雑草の葉先に、抜け殻を見つけたので、スマホで写真を撮った。
少し先にある小学校の敷地内の背の低い木に、ギョッとするほどたくさん抜け殻を見つけた。クリスマスの飾りのように妙にバランス良く葉先について、風にゆらゆら揺れていた。
これこそ写真におさめたい。そう思ってスマホを向けたけど、背景に他の木々が写り込んで、いまひとつ面白さが伝わらないので諦めた。
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朝一の打ち合わせのため、町工場へ出向いた。うっかり早く着いてしまったので、周辺で自然観察。