和歌が好きです。
きれいな日本語、ストンと来る文字のリズム。自然・人の気持ちへの繊細な観察眼。
技巧や、踏まえてある故事などには詳しくないのですが…
言葉、生活習慣、取り巻く病気、人生のロールモデル。
いろんなことが現代とは違っていた時代の人の詠んだ歌が、今も共感できることにドキドキするのです。
「ああ、こういうことを言ってるんだな」と伝わってくる内容をとても身近に感じるとき、タイムマシンを使ったような、胸が驚き踊る感覚を覚えます。
秋来ぬと 目にはさやかに見えねども
風の音にぞ 驚かれぬる
これなんか、今の季節にぴったり。
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数年前、ある女性ファッション雑誌のテレビCMで、こんな言葉を耳にしました。
《幸せは、オシャレで素敵でかっこいい》
私は初め「なんじゃこりゃ」と批判的に思いました。
女優の小雪さんを使ったCM。洗練された、品のある雰囲気でまとめられたイメージの中、そのセリフだけが変に卑近で、映像からかなり浮いている感じがしたのです。
それだからか、気になって何度も思い出しました。
「絶対イメージに合わないのに」…
反すうしていて、あるとき気がつきました。「五七五になってるじゃないか!」と。
一度聞いたら耳に残るリズムに、日常的な言葉をはめこんで。
消費者の記憶に残す、という意味でとても戦略的な、練られたコピーじゃないか。と思い直しました。
聞いていて、気持ちよく収まる文字の数があること。
これは科学的に(言語学的に?)何か説明がされているのかな。
昔の日本人から代々伝えられてきた、共通の感覚だったら素敵だなあと思います。