いろいろな物件を見て、心惹かれて、けれど難点を見つけては、心はまた現在の部屋に戻ってくる。
「そこまで狭いってわけじゃなかったんだな」
「この通勤時間でこの家賃、決して悪くはないな」
少し目が肥やされて、この部屋の美点に気がつくようになる。
引っ越す、引っ越さないはまだ決まらない。
この週末にもう一度不動産屋さんに足を運んで、新たな物件を紹介してもらいつつ最終的な判断をする予定。
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いま、何をするにしても、「自分はそれを本当にしたいのか?」などと考える。
時間もお金も限りある。何かを選ぶときの自分会議は欠かせない。
でも、中高生のときには、真剣に考え込まなくてよかった。
お化粧もダイエットもしないで、月九とかも見ないで、雑誌も服も買わないで、勉強していてよかった。
「大学に行ってどうするんだろ」
「自分はどうしたいんだろう」
そんな自我が芽生えていたら、問題集を解く手が止まっていたかもしれない。
「勉強がすべてじゃない」
「志望校に入れなかったから何もかも終わりってわけじゃない」
そんな大人びた考えに辿り着いていたら。
(もちろん何も考えなしにいたわけじゃないだろうと思う。ただ勉強について、その意味を根底から疑ったりはしなかった。)
なんだかよく分からないままでも、モヤモヤしながらでも、一生懸命何かに取りくむことは、必ず何かを残してくれる。