ミステリーの感想・犬の絵
同じ作家のミステリーを立て続けに読み、
きのう読み終えたものでやっと一息つきました。
もうしばらく、この手のものはいいや、
と思いました。
とても面白く、だからこそ止まらなかったのですが、
エンターテイメントとして楽しむ傍ら、
題材である数々の忌まわしい事件がリアルであることに、ある種の後ろめたさ、不自然さを終始感じていました。
読まずにおれない、でも読後感がじめっとしていて気持ちいいものではない。
作家はどんな読後感を読者に期待しているのかなあ。
リアルに身近に感じさせたなら、それこそ本望なのかもしれないな。
また、純粋に物語を運ぶ力量がすごい、と感じました。
あんなにたくさんの人が出てくる、
主人公格で、通して描かれる人物もあれば、
事件になんらかの動きをもたらすためにちょろっと出てくる人物もいる。
でも、どんな人物もしっかりキャラクターが印象づけられて、決して「これ誰だっけ、どこで出てきたっけ」とはなりませんでした。
割かれるページが少なくても、人となりが的確に表現されているからだと感じました。
ミステリー、サスペンスでは、
時系列が複雑で、場面の切り替えも頻繁にあったりして、読者に理解させながらついてきてもらう必要がある。
「わからない」のは好奇心をそそる、次のページをめくらせる「謎」であって、
「話についていけなくなってきてわからない」のではいけません。
…あんた誰よ、という上から目線になってきましたが、
小説など書いたこともない私が
なんでこんなにミステリー小説の良し悪しをアレコレ言ってるのか、それはただ、
読む中で作家の力量をひしひし感じて、
それを言いたかっただけです。どこがすごいと思ったのか。
私が言っているのは、
たぶんプロであればまずクリアしているレベルの話です。
べつにあえて賞賛すべきポイントではないのかもしれない。
けれど、そこから遠い世界にいる、もっぱら小説は読むだけの一市民だからこそ、
「これは小説家だからできるんだ、すごい」
と、プロと自身を分かつ部分を見つけて感動するのは、
私にはかなり楽しいことなのです。
(小説自身を楽しむこととずれていると思います。
不気味さと不安をはらむ読後感に圧倒されて、
こんなことを考えてしまうんだと思います。
たぶん、もっと別なタイプの、
ハートウォーミングな小説や、
読んで元気が湧いてくるような小説だったら、
いちいち技術面には目がいかない、そんな気がする。)
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きょうの絵は柴犬です。
野生動物はありませんが、
犬シリーズもいいなと思っています。
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