たわいない話です。
家の中で、なくなるはずがないものがなくなることがあります。
久しぶりに着ようと思った秋物のコートとか
冷蔵庫のにんじんとか。
なかでも記憶に残っているのは
しょうゆが行方をくらませたこと。
あれは5年前、ワールドカップがあったとき。
なでしこジャパンの試合が日に日に白熱していました。
決勝の対アメリカ戦、だったかは忘れたのですが
その日の晩、夕食を作りながら
なでしこ戦の中継をテレビで見ていました。
何かをまぜながら釘付けに。
調味料を持ったまま釘付けに。
料理を作り終えてみたら、
しょうゆが消えていました。
私は冷蔵庫の扉のポケットにしょうゆを入れているのですが
気が付けばそこがぽっかり空いている。
あれ、台所に出しっぱだったかな。
きょろきょろしてみるけど、無い。
えっ、もしかして私おしょうゆ失くした?
初めのうちは
あんな大きいものが無くなるはずがない、
という気持ちの余裕があったのですが
一向に見つからず、
だんだん、不気味さを感じ始めました。
妖怪とかがいたずらで持って行ったのかもしれない。
いや、このまま見つからなかったらそう思うしかない。
結局その晩は見つからず、
もやもやしたまま仕事に出かけ、
帰りに友達とごはんに行きました。
友達は
「大丈夫やって。
そういうときって、
思いもよらないとこにしまってあるねん。
そのうち
『ボク、なんでここにいるんでしょうか?』
って戸惑った顔してしまわれてあるの見つけるって」
と言っていました。
(戸惑うしょうゆのマネをしながら話をしてくれた友達)
結局、おしょうゆは、
シンク下の収納スペースにありました。
みりん、お酒、油などと一緒に並べてありました。
確かに心細そうな佇まいでした。
「あー、ここにいたの!
ごめんねぇ~」
と思いました。
ちなみに、冒頭に書いた紛失物が見つかったのは
秋物のコート ・・・クローゼットの端っこ
にんじん ・・・間違って冷凍庫に(もう食べられない状態でした)