少し前に、東京ドームへライブを観に行った。開演は夕方で、帰りは遅くなるからと着込んで出かけたけど、会場は温かかった。空調が入っていただろうし、人の熱気もあった。Tシャツの人もたくさんいて、コートは場違いだった。
いまをときめく有名人が目の前に現れる、これから時間を共にすると思うと、なんだか信じられないような気持ちになった。
嬉しいというよりも、常識では考えられない超常現象が起こることが宣言され、それを待ち受けるようでワクワクした。
実際は、ステージの上の彼女らは米粒か胡麻のようなサイズで、思っていたような興奮が押し寄せることはなかった。鼻血や熱を出して倒れるんじゃないかと密かに危惧していたので、拍子抜けと安心を同時にした。
ライブ中の盛り上がりはすごかった。その姿がはっきりと直視できる席はほんの一部で、私と同じように誰が誰だかわからないような距離の人が大半なのに、そこにいる、という事実だけでこんな熱狂が起きる。この人たちは何人かでそれを起こしてしまう、ということに圧倒された。それが眩しくて少し羨ましくて、観客の一人として盛り上がりながら、寂しいような切ないような気持ちになった。
帰りは旦那さんと二人で地元の居酒屋へ。時間が夜10時を回っていたのにがっつり食べたせいか、腹痛を起こして、家までお腹を抱えるようにして歩いた。