やっとこさ悟る
こないだ帰りの電車の中で、若い男の人たちが自分の子供の話をしていた。
乳児のいるらしい一人が、いま夜泣きで大変なんだという話をすると、もう少し上の年齢の子のいるらしい別の人は「夜泣きか、懐かしいな」と言い、あっという間だ、というようなことを言った。
その後もぼつぼつ会話は続けられたけど、終始愚痴めいた言葉は発されなかった。誰か一人がずっと喋っている、ということもなかった。聞いていて、心地よかった。
その人たちの関係はたぶん会社の同僚か何か、年齢は近そうであったけど二つ三つの年齢差、上下関係がうかがえた。気の置けない相手にするような話し方は皆控えていたんだろう。
そんな風に、仕事の延長のような緊張感があってのことにせよ、普段から仲が良いのだなということは伝わってきた。(そういうのは他人にもわかる)
電車で見かけたその会話に、癒しと元気をもらった。和というのはこうやって保たれていくんだな、と思った。人がそれに費やすエネルギー、気遣いは尊いと素直に思った。
自分はといえば、あまり社交的な方ではなく(一対一なら大丈夫だけど大人数でワイワイやるのを難しく感じる)、また「なんで皆そんな無理してつるむんだろう、気が合う人同士ばかりでもあるまいし」とまで、少し前までは反発していたし、今でも油断するとそういう気持ちを抱くことがある。
でもなんだろう、いつのまにか。その価値が、必要性がわかるようになってきたような。
「和」、ひいては平和というのは、人が意識的に作っていくもの、また、絶え間なく紡がれながら保たれていくものだと、やっと理解できた。(この歳になって…遅すぎる…でも分かってよかった)
誰かと偶然どこかで一緒になり内心ワタワタ話題を探すのも、ちょっとは楽しんでできるようになるかな。(たいてい相手に先を越されてしまうけど)