暮らしの中で思うこと

絵中心のブログ。簡単なイラストや、たまに動物のスケッチを描いています。

読書の感想と国語の思い出


吉本ばななの小説を始めてまともに読んだ。はじめの数ページで文章を気に入り、「買ってよかった」と思った。(判断がせっかち)

なんというか、本の上に描かれた光景が目の前に見えるようで、別に誰と比べるつもりもないんだけど(強いて比べるとしたら自分)、同じ日本語なのに、書き手によってこんなに正確に、景色、空の色、気温や匂いまで立ち上らせることが可能なのかと感動した。

読み手がそれを自分の中で行えるよう、何から何まで書いてしまわないのも手腕なのだと思った。その奥ゆかしさ、頭の中で結ばれる光景の懐かしさに、次第に胸がいっぱいになり、佳境でもなんでもないところで涙が出そうになった。

物語が進むうちに、各人物の人となりが自然とわかってくる。それは、必要なところで人物の心の動きを無理なく伝えているからで、繊細な仕事だと思う。その一方で、読み手の感受性に委ねる余白がちゃんとあるのがすごい。

(この、読み手が感受性を働かせて、自ら感じに行くという行為が、文学の条件だなぁ。その点で言えば村上春樹とかのほうがめっちゃ文学だけど、まぁ、その度合いはまちまちだし、人によっても判断が違うだろうな。)


小中高、通してよく本を読んだ方だと思うけど、そのわりに学校の国語で求められる読解力には自信がなかった。教科書を読み物として楽しんでいたけど、試験となると苦手意識があった。(算数が絶望的にできなかったから、相対的に得意科目っぽくなってたけど、確信を持って選んだ答えが違ったりして、分かり切らない、苦手だ、というイメージが付いて回った)

今ならもうちょい良い点取れるかも、なんて甘いことを思ったりする。また、そもそも教科書っていうのが、全体の中のほんの一部を抜き出して載せて、何を読み解けと?とはずっと思っている。

ちなみに『山月記』は教科書で出会ってよかった。あれは短くて全部載ってたんだけっけ?面白いと思って、図書館で本を探し求め、ほかの著作も合わせて読み直した。

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きょうはゆっくり本が読めて、心が耕されて、良い休養になった。