もう高校時代に手放した漫画だけど、いまも正確に覚えている文章があります。
主人公は女の子。(だいたいそうだ)
付き合って間もないの男の子の肩に頭をもたれて、
「やっぱり○○くんはいいな」
と言ったあとのモノローグが以下。
《やさしいのに
浸れるほど甘くはなくて
あたしが考える時間をくれる》
そのとき共感や感動をしたわけじゃなかったけど、なんとなく「いいなあ」と思ったんだろう。ずっと頭に残っていて、今に至るまでときどき反すうしてきた。
ずっと忘れないのは、繰り返し思い出すから。
このモノローグに限らず、料理や編み物をしているときによく漫画の1シーンを思い出す。芋づる式にそこから話が展開されて、つらつら頭の中で追っていく。もちろん延々とは思い出せないけど、いけるとこまでいく。
勝手に頭がやっていることだけど、一種の遊びなんだろうな。
私は、机の周りや枕元など、手を伸ばしやすい所に漫画を置いておく癖がある。何かの気まぐれやついでに別の巻と取り替えない限り、その漫画をしつこいほど読むので、一字一句や、そのシーンが左右どちらのページにあったかまで暗記したりする。
「もう嫌っちゅー程読んでるのに、なんで読もうとするのか」
と我ながら思うけど、子供が同じ絵本をしつこく読むのと似たようなことかもしれない。
次に何が待ち受けるか分かって読む安心感。キャラクターの喜怒哀楽あふれるセリフや表情が楽しくて、次々ページをめくってしまう。